「ビッくらポン!」にとりつかれた話

今週のお題「寿司」


大学時代、サークルの練習終わりにくら寿司に寄った際の話。
入店時刻は22:30とかなり遅めである。ところが驚くことに、こんな時間になってもまだ子どもの姿がちらほら確認できた。一体なぜなのか。
その理由はすぐに判明した。
ずばり「ビッくらポン!」である。
ビッくらポン!」とは5皿に一回素敵な景品があたるチャンスが巡ってくるというシステムであり、くら寿司がスシローと差をつけるために発明した目玉戦略の一つでもある。
素敵な景品と書いたが、景品自体は実際に買うとなると出せても10円、というようなラインナップばかりである。しかし、一旦「ビッくらポン!」システムに参加してしまえば、10円の価値もない景品も(気持ち的に)素敵な景品として生まれ変わってしまうのだ。
ここでいう「ビッくらポン!」システムとは、下記のようなものである。
【庶民に適したレベルの寿司に満足→皿を投入口に入れていくため、テーブルが常に広い→皿が5枚たまり、心地よい緊張感→待望のアニメーションに押さえきれないワクワク→結果は外れ。しかし次の5枚という目標に向けて生まれるチームの一体感】
いわばメリットの連続であり、この気持ちよさに酔いしれて当たりが出るまで挑戦してしまう中毒性が「ビッくらポン!」システムの恐ろしいところだ。
そして、まんまとシステムに憑りつかれて数十分後、20枚目にしてついに当たりが出た。
カプセルを開けると、そこには寿司とコラボをしたポムポムプリンのラバーアクセサリーが入っていた。やはりこれには10円も出せない。しかしこの景品に10円以上の価値があることはその場にいた全員が理解していた。
(ここで「どうせ4回目に当たりが出るんだろ」とは口を裂けても言ってはいけない。)